今回ご紹介するのは、グリム童話の『Rapunzel』です。こちらは翻案・イラストPaul O. Zelinskyで、1998年に本作でコールデコット賞を受賞しました。
コールデコット賞についてはこちらの記事で詳しく解説しています
ラプンツェルと言えば、ディズニーの「塔の上のラプンツェル」が今の子どもたちにはメジャーだと思いますが、本作は原作であるグリム童話をわりと忠実に翻案した内容。
「塔の上のラプンツェル」を想像していたら全然違うストーリーだったので、我が家の子どもたちにはとても新鮮だったようです。
大人の私も、原作はこんなお話だったのかと興味深かったです。
『Rapunzel』あらすじ
あるところに夫婦が住んでいました。
妊娠中の妻は、魔法使いの家の庭に生えているラプンツェル(草)がどうしても食べたくて食べたくてたまらなくなります。
日に日に痩せ衰えていく妻に頼みこまれた夫は、魔法使いの庭に忍び込んでラプンツェルを盗もうとしますが、見つかってしまいます。
「ラプンツェルを盗んでもかまわないが、その代わりに生まれた赤ん坊を私によこしなさい」という魔法使いの条件を、夫は受け入れるしかありませんでした。
赤ん坊が生まれると魔女が現れて、約束通り連れ去ってしまいました。
魔女は女の子にラプンツェルと名付け、大切に育てました。
やがて魔女は、美しく成長した彼女を世の中のすべての危険から守るため、出入り口のない高い塔の上に閉じ込めてしまいました。
魔女が「ラプンツェル、お前の髪をおろしておくれ」と塔の下から呼ぶと、彼女は美しく長い髪を塔の上から垂らし、それをはしごがわりにして魔女を出入りさせました。
あるとき、ラプンツェルの美しい歌声を耳にした王子は彼女の存在に気づき、なんとかして会えないかと考えます…
『Rapunzel』おすすめポイント
本作はコールデコット賞を受賞した、挿絵がとても美しい絵本です。
Paul O. Zelinskyは、かなり幅広い絵のスタイルを持つことでも知られる絵本作家です。
“I want the pictures to speak in the same voice as the words.”(私は挿絵に文章と同じ声で話してもらいたい)とは彼の言葉。
本作はルネッサンスの宗教画のような荘厳なイメージの挿絵ですが、それがラプンツェルのちょっと不思議で恐ろしい物語の雰囲気にぴったりマッチしていて見事です。
子どもにはこの絵の雰囲気はとっつきにくいかな?とも思いましたが、我が家の5歳児と6歳児の男の子も、意外にも最後まで食い入るように楽しんでいました。(ストーリーは長めです。読み聞かせは15分はかかると思います)
何より、読み聞かせる大人が楽しめる内容と絵だったというのが一番のおすすめポイントです!(ここ、大事ですよね!)
お子さんとディズニーの「塔の上のラプンツェル」との違いをいろいろ発見しながら読むのも楽しいかもしれません。ラプンツェルの名付けのヒミツや、よく考えるとちょっとゾッとするようなグリム童話ならではのストーリーは、きっと親子どちらも楽しめること間違いなしですよ。
『Rapunzel』読み聞かせレベル(Lexile指数)と対象年齢
リーディングレベル:Lexile指数 AD700L
対象年齢:5〜8歳
Lexile指数についてはこちらの記事で詳しく解説しています
『Rapunzel』まとめ
タイトル | Rapunzel |
著者 | Paul O. Zelinsky (Adapter) |
本の長さ | 48ページ |
リーディングレベル | Lexile指数 AD700L |
対象年齢 | 5〜8歳 |
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