「ピアノを習うと、英語をはじめとする第二言語の習得が得意になる」
というのをみなさんは聞いたことがありますか?
我が家は、
母親である私がピアノ経験者で(あくまで習い事としてやっていた程度です)
7歳と5歳の息子たちは現在週に1回30分のピアノレッスンを受けています。
【ピアノ経験者の私が大人になって英語に再チャレンジしてみた場合】
については前編としてこちらの記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
本記事では、後編として
- 現在ピアノを習っていて
- アメリカ現地校と日本語学校に通いながらバイリンガルを目指している
我が子のピアノと英語について、親の私が感じていることをご紹介したいと思います。
ピアノを習うと、英語が得意になるのか??
その実情をご紹介したいと思います。
- ピアノを習うと英語力が上がる?実際はどうなのか知りたい
- 子どもにピアノと英語の習い事を検討中の人
- 効率のいい英語教育がしたいと考えている人
【長男の場合】ピアノを習うと英語が得意になるのか?
アメリカ生まれの我が子でも苦労した英語習得
長男はアメリカ生まれの7歳で、この9月からアメリカ現地校の新2年生になりました。
長男が小さい頃は日本人が多く住むエリアに住んでいたので、日常で英語ができなくてもそこまで不便なく生活できてしまうような環境でした。
ママ友や長男の遊び相手もおのずと日本人ばかり。毎日日本人の仲よしの家族と遊んでいました。
夫も私も純日本人なので、家での言語は100パーセント日本語でした。
そんなわけで長男はアメリカ生まれアメリカ在住ながら、プリスクールに入園する2歳まではほぼ完全な日本語環境で育ちました。
日本の友人や家族からは
「現地の学校に通えば子どもなんてすぐに英語が話せるようになるでしょ」
「苦労せずバイリンガルになれるなんてうらやましい」
そう言われることもありました。
でも実際は、小さな子どもといえど英語習得はそんなに簡単ではありませんでした。
まず、子どもだからといってすぐに英語を話し始めるなんてことはありませんでした。
長男の場合、慣れない英語環境のストレスで登園拒否をしたり英語アレルギーになりながら、実際に英語を話すようになるまで1年半かかりました。
それまでは、学校ではただただ静かな子だったようです。
もちろん少しずつ簡単なYES/NOのコミュニケーションはとれるようになっていったので、英語の理解はゆっくりですが進んでいたのはわかりました。
でも、実際に自分から話し始めるまでは莫大なインプット量が必要で、そこに達するまでは子どもといえど、想像以上に長いのだなというのが振り返ってみての感想です。
(もちろん、子どもの性格によって個人差はあると思います。長男はどちらかというと慎重派です)
それからプリスクールの3年間、夏には長期で一時帰国をして日本語の幼稚園に通わせたりと母国語の日本語が弱くならないように気をつけつつ見守りました。
英語は、3年間アメリカと日本を行ったり来たりしていたせいもありますが、クラスでは辛うじてコミュニケーションがとれる程度の成長具合でした。
5歳になると、アメリカでは義務教育が始まってキンダーガーテンに入学します。キンダーガーテンとは、小学校付属の幼稚園で、1年間かけて小学校に入るための準備をします。
幼稚園といっても朝から夕方までしっかりとお勉強をしますし、定期的に成績のフィードバックもあります。
プリスクールではたどたどしいながらもお友達とコミュニケーションをとっていた長男ですが、キンダーになると学校生活の大変さを実感するようになります。
積極的に発言するクラスメイトの中で手が挙げられなかったり、人間関係も幼児の頃のような単純さではなくなってくることもあり、ふたたび言葉の壁を感じる場面が多くなってきました。
5歳から習い始めたピアノ
長男に少しでも自信を身につけて欲しいと始めたのが、ピアノの習い事でした。
アメリカでポピュラーなバスティンメソードからスタートしました。
その後、こちらもアメリカでよく使われる教本「ピアノアドヴェンチャー」シリーズなどを経て
現在はブルグミュラー、ギロックなどを使っています。
練習は、はじめの1年ほどは毎日30分ほど
2年目の今は毎日1時間〜1時間半ほどの練習をしています。
習い始めた当初はゆるく楽しくやっていたピアノでしたが、曲のレベルが上がるにつれて練習量は徐々に増えてきました。
少なくとも、ピアノ経験者の私の幼少期に比べたら倍以上の練習量です。
「譜読みは嫌い〜」(譜読み:初めての曲の楽譜を読んで弾けるようにする練習のこと)
といつも言っている割には、経験者の私からみても長男は譜読みが早く、どんどん新しい曲を身につけている印象です。
毎週1曲のペースで譜読みを終わらせ、レッスンまでにはそこそこの完成度にまでもっていくので我が子ながらすごいなぁと思っています。
レッスンで先生から直すように指摘された場所は、かなり細かいニュアンスであっても、割とその場ですぐに修正することができるので、先生にもよく褒められています。
リーディングの成績
アメリカの小学校には、日本の国語にあたる授業としてリーディングとライティングがあります。
長男の1年生ときのクラスでは、リーディングの授業になると生徒のレベルごとにいくつかのグループ(1グループ4人ほど)に分かれて、レベルにあった本を一緒に読んでいくというスタイルでした。
(なんとアメリカには国語の教科書のようなものが存在しません)
生徒のレベルはひとりずつ、定期的に測られました。
テストはこんな感じで行われます。
まず、先生が提示するレベル別の文章(物語の一部など)を音読します。
その後先生がその文章に対する質問をいくつかして、生徒はそれに答えます。
そのレベルがきちんと読めて理解できていると判断されれば次のレベルをまた音読して、質問に答えます。
それを繰り返していき、音読に何度もつまずいたり質問に答えられなかったりするとそこでテストは終了、
レベル判定となります。
昨年度はコロナの影響でずっとオンライン授業だったので、その一部始終をみることができてとても興味深かったです。
レベル測定テストは先生と一対一で、zoomを通して行われました。
まずは音読して、それから質問に答えます。
日本でもお馴染みの「ふたりはともだち」は、
測定テストで使われた文章で唯一私が知っている本でした。
驚いたのは、長男のリーディングレベルです。
1年生になったばかりの頃のテストではリーディングレベルJの判定。その後のテストではLにレベルアップし、1年生の終わりにはNとなっていました。
上のチャートを見ると、Nは2〜3年生レベルであり、Lexile指数は620L程度であることがわかります。
長男は、クラスのリーディンググループでは常に一番上のレベルに振り分けられていました。
そして1年生の途中からは、算数とともにリーディングの成績優秀者のためのエンリッチメントクラス(ギフテッド教育の一環)に入りました。
ところで長男はキンダーから現在まで、英語を母国語としない生徒のための英語補習クラス(ESL/ELLと呼ばれます)を毎日学校で受けています。これは、英語での授業についていくための特別英語クラスです。
英語(特に会話)でハンデがあるはずの息子が、リーディングのレベルはずば抜けて高いんです。
私は、もしかしたら長男はピアノの譜読みや演奏の訓練を日常的にしているから英語を読むのが得意なのでは??と思っています。
というのも、長男ははじめて読む文章でも上手に抑揚をつけてつまらずに読むことが上手です。
そして、わからない単語が出てきても音を推測して読むのが得意。
オンライン授業を見ていると、ネイティブの子どもたちでも知らない単語が出てきたときには1音ずつフォニックスを考えながら詰まりつつ発音していたりするんですが、それが息子は瞬時にできていた印象です。
発音だけじゃなくて、ネイティブの子よりも意味を知らない単語は多いはずですが、それも流れのなかで意味を推測できているようでした。
推測する力のおかげか、読解力も高いです。
前編(ピアノ経験者の私が英語に再チャレンジした場合)でも書いたことですが、
言語と音楽って同じだなと思うんですね。
まず、どちらも相手に気持ちを伝えたり、自己表現するための手段ですよね。
そして紙に書かれた文章を音読するのは、楽譜をピアノで演奏するのと同じだと思うんですね。
書かれていることを、書いた人の意図を汲み取りながら読んで、表現するという点では同じですよね。
ピアノを習っていると、そういうことが得意になるんじゃないかなと思いました。
耳のよさ、発音のよさ
長男の耳のよさや発音に関しては、正直なところピアノと英語の関連は私にはわかりませんでした。
長男の英語のリスニング能力はというと、とても高くて私なんかはすでに敵わないレベルです。
映画やアニメは英語のまま観て楽しめますし、ときどき私が聞き逃した英語を教えてくれたりしてとっても助かっています(笑)
発音も、すでに私よりもうまく発音できますがそれがピアノのおかげかどうかは正直わかりません。
ピアノと英語に関するさまざまな研究によれば、ピアノを習うと子音の聞き分けが習わない子に比べて得意になることが明らかになっています。
私としては、そうかもしれないけど具体的に長男がピアノを習い始める前と後でどのくらい変わったのかがわからないのでなんともいえない感じです。
ただひとつ、逆はあるかも?と思ったことがありました。
黒河好子さん著『だからピアノを習いなさい』という本を先日読んだんですが、
その中でとても興味深いことが書いてありました。
日本人は、ピアノを学習する上で西洋の人たちよりもハンデを抱えている。
それはひとつは言語の違いが関係している。
音楽は言語の影響を大きく受ける。
例えばクラシック音楽の発祥の地ヨーロッパの言語はイントネーションやアクセントで表現をするが、日本語は音の高低で表現するため、ニュアンスをつけるのが苦手である。
また、クラシック音楽はハーモニー・メロディー・リズムの3つで構成される一方、日本古来の音楽は詩吟のようにメロディーと「間」で構成されている。
そのために日本人はハーモニーとリズム感が捉えづらい。
(参考:黒河好子『だからピアノを習いなさい』ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス,2016,99p)
長男は私からみてもピアノの上達がとても早いです。
そして、なかなかいい演奏をします。
先生に指摘されたのすごく細かいテンポの違いやニュアンスの違いでも、先生のお手本を聞いたらすぐにマスターできてしまうんですが、もしかしたらそれは息子が英語環境で育ってきたからなのかも?と思いました。
そうだとすれば、ピアノと英語を学ぶことはどちらもいろんな音の違いを聞き分けて身につけることになるので、相乗効果でより耳がよくなりそうですね。
【次男の場合】ピアノを習うと英語が得意になるのか?
長男と同じくアメリカ生まれの次男ですが、
2歳からプリスクールに通い始めて1年経った頃、コロナ禍に見舞われました。
プリスクールはすぐに休校になり、それからなんと1年半、次男がプリスクールを卒業するまで開校することはありませんでした。
なので、次男は1年ほどしかアメリカでの学校生活を体験していません…
次男の英語力は一体どの程度なのか、親の私もまだ把握できていません。
今月からキンダー(小学校付属の幼稚園)に通い始めたばかりなので、しばらく様子を見ようと思います。
ピアノは習い始めて1年が経ちました。
おもしろいもので、ピアノの演奏や練習スタイルは兄弟でまるで違っていておもしろいです。
次男は直感型で、天性の表現力があるようなタイプ。
もともと手先が器用で運動神経もいいので、ピアノを演奏する上で大切な脱力なんかがとても上手いんですよね。
譜読みは長男ほど得意ではなく、そして大嫌い…。
毎回譜読みに付き合う私とのバトルが繰り広げられています。
ただ、いわゆる耳コピ(耳で聞いた曲を演奏して再現すること)がとても得意で、長男が練習で弾いている曲をすぐに覚えて完璧に再現してしまったりします。
(現在、教本はぴあのどりーむ6とハノンを使っています)
そんな次男の英語力はこれからどう伸びていくのか!!??
耳コピ上手、そしてピアノの表現力は英語に生かされるのか???
これから楽しみに見守っていこうと思っています。
まとめ
ピアノを習うと、英語が得意になるのか??
本記事では、
- 幻斎ピアノを習っていて
- アメリカ現地校と日本語学校に通いながらバイリンガルを目指している
我が子についてご紹介しながら、ピアノと英語の関連について検証しました。
長男はピアノの譜読みを毎週のようにこなしていて、譜読みがとても早いタイプですが
そんな長男の英語のリーディングレベルは、1年生の時点ですでに3年生レベルに達していました。
1年生の途中からは成績優秀者のためのエンリッチメントクラス(ギフテッドプログラム)に参加するまでになりました。
初めて読む文章でもきちんと抑揚をつけてつまらずに読めて、わからない単語を推測する力も高く、そして読解力もありました。
私はこれは、日頃の譜読みやピアノ演奏の練習のおかげではないかと考えています。
また、耳や発音がいいのはピアノでニュアンスやハーモニーを聞き分ける練習が英語にも生かされているからではないかと思います。
以上より、私の結論は
子どもは
ピアノを習うと、英語が得意になる!!!
でした!さらに、
英語を学ぶと、ピアノも得意になるよ!!!
でした。
理由は、言語と音楽は本質的には同じだからです。
もしお子さんにピアノと英語を学ばせたいと考えている方がいらっしゃったら
私はピアノと英語、両方セットでおすすめします。
ただ、ピアノはちゃんとプロの先生について学ぶ必要があると思いますが
英語に関しては、おうち英語でも十分身につけられるんじゃないかなと思います。
英語の絵本を毎日読むのもいいですし、英語のアニメなんかはいくらでも楽しいものがありますしね。
週にたった1回の英会話教室で簡単な会話練習をするよりも、毎日の読み聞かせや英語アニメの視聴でたくさんの英語をインプットさせるほうが、耳を養うのにもいいんじゃないかなと私は思いました。
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